安恵門下の兄弟子 永瀬叡王を見ていると全ての喜怒哀楽を超越した存在にならなければならないのかと思う。それでなければ人間を越える鬼 -タイトルホルダー- にはなれなのかと。才能のぶつかり合いの中で抜きん出るために魂の炎を激しく燃やす世界の住人になることを選択した人を、私たちはただただ傍から見つめているしかない。心模様は分からないし、かの才能を測る物差しだって持っていない。でも、彼らと私たちのコミュニケーションの媒体として将棋がある。もちろん、それは表面的な事実だけを知るためだけの共通言語でしかないのだけれど。
青嶋未来の才能を疑う者はいないだろう。
プロデビューは早くなかったものの、将棋ウォーズの垢バレなどもあり、将棋ファンにおける認知度は高い。
いつ爆発的に勝ちだして檜舞台に躍り出ても不思議ではない。
ただ問題は、そんな同世代の若者が本当に多いということである。加えて、ベテラン勢となったH世代もまだ一線級で戦っている。
棋士の日常は良く分からない。
最近はソフト研究を主として、人相手に練習しないことも増えているという。
ますます人物像が見えてこない。
私は青嶋未来はどのような人物なのかを、僅かな手掛かりをもとに考えた。
そんな中、トークライブの前に大きなニュースが舞い込む。
青嶋未来 全日本チェス選手権 優勝
兼ねてからチェスの名手となっていたことは伝え聞いていたが、まさか日本一の称号を得るまでになっているとは知らなかった。彼は優勝した後、喜びを爆発させて咆哮したのだろうか?クールに見える青嶋五段でも喜ぶことはあるのだろうか?などと想像した。
用意した10の質問は以下。
1. 対局の前は良く眠れるほうだ。
2. 勝負事が好きだ。
3. 負けず嫌いだ。
4. 好奇心が旺盛なほうだと思う。
5. 一人の時間は大切。
6. 家でも歌う。
7. 自分の声は良い声だと思う。
8. 詰将棋は必要!
9. 棋士にとって寝ぐせは重要だ。
10. ズバリ聞きます。今、1番好きなのは将棋だ。
お分かりかと思うが、一番聞きたかったのは 10. である。
将棋民は棋士がチェスで好成績を上げると嫉妬する傾向にある。心配もする。
青嶋五段は、何の迷いも無くスッと〇を札を上げた。
私が書いた台本の役目はこれで終わりだ。この言質さえ取れれば、あとは何だっていい。
トークライブで青嶋未来は若者らしく笑い、時に戸惑い、観客とのやりとりを楽しんでいた。少なくとも、彼は観客の前では人間だった。
生中継を終えて、カラオケの話になると更にテンションが乗ってくる。
嬉々として分析して講義する青嶋先生は本当に楽しそうだし、こちらも楽しくなってくる。
カラオケの採点表、机にはチェス、ホワイトボードには五角形のチャート。
凡そ将棋教室とは思えない風景だ。カオス。
人前で語れるほどなのだから、これはもう趣味の域を脱している。そんな様子をみんなで一緒に楽しんだ。
決して自分から盛り上げていくタイプでないものの、求められれば応える男。実は人懐っこい。菅井七段に少し似ているかもしれない。
私は棋士がどのように生き抜いていくのか、どのように頂点に立てるのかの方策は知らない。どのように応援して、彼らの力になれば良いかも分からない。でも、今日この時に集まった者で共有した時間によって形成されたであろう縁が、何かの時の最後の一押しになってくれればと思っている。まだ夢の途中。光の先の未来に一緒に共に立つ日は遠くないと願い、私はこのナンバーを選曲する。
"Stand By You"
Official髭男dism
Stand By You いつも Stand By You
未来がハイになる 君と歌になる
Stand By You 眠らない街の喧騒を抜け出して
Stand By You 光溢れた夢の続きは君と共に
未来がハイになる 君と歌になる
Stand By You 眠らない街の喧騒を抜け出して
Stand By You 光溢れた夢の続きは君と共に
(文 @tothewolrd)
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